よしなしごと

日々徒然

ちぇんまい狂詩曲 ④

現場から、たらたら約1時間30分程かかり、ホテルに到着。
フロントには2人の女性がいた。

「お祭り、どうだった? 」

身振りを交えながら、膝下部分の燃え落ちたズボンをたくし上げる。
焼け焦げ、黒く縁取られた、元白パンツ。
燕脂・黒・黄土色のペーズリー模様がシックで、ヒラヒラ飾り布のあった一目惚れの品。
穿いたその日に、無残オシャカ様。

フロントのお姉さん、おばさん、偶々フロントに立ち寄ったおじさん…表情が変わる。
鼻腔に、焦げた臭い。嗅神経。臭いの粒子は鼻の粘膜に付着し、それを認識するという。
衣服のソレだと思いたい。

ここで初めて、己が火傷を見る。
思っていた以上に、うん、なんかアレだ、グロい。

左下腿内側 大きな水膨れが2つ形成されつつある。もう1つあったようだが、擦れて潰れたようだ。黒く焼けた部位には、幾つもの白い斑のような色が浮かんで見える。毛穴だな、こりゃ。
浅い火傷の範囲も含め、縦7〜8センチ・横4〜5センチって、トコか。黒い肌の周りは、赤く引き攣れたような肌の色。
左大腿内側 直径2〜3センチ程。コチラは水膨れが潰れたか薄皮が捩れ、擦れると下腿よりも痛みを感じる。
膝蓋骨上及び腓骨筋には、横へ線状に走る焦げ茶色や黄色の火傷痕。太いものもあれば、細いものもある。
両手掌・右拇指・中指・薬指 軽い火傷と痛み有り。

事の顛末を、ゲラゲラ笑いながら話す。残念語学力は、大袈裟なボディランゲージでカバー。我ながら呆れるテンションの高さ。
「笑う」のも、ストレス発散精神防御の一つだろうか。もう、笑うしかない。

ホテルのお姉さんのお名前は、ミーナーさん。
彼女は、(私がゲラゲラ笑ってる間に)向かいのお家からアロエを貰ってきてくれていた。
椅子に座るよう云われる。
ハサミでアロエの果肉を取り出し、患部につけてくれた。
ヒンヤリと、イェン サバーイ…
アロエ、冷たく気持ち良い。

私のように火傷をする人や、コムローイの落下での民家の火災、そんな話をしてくれる。

「近くに薬局があるよ」

ミーナーさんが一緒に来てくれるらしい。
一応財布の確認をする・・・確認・・・確・・未確認。まぢか。
両替したばかり約5000TBH & メインで使用しているクレカ、紛失。
最早、笑うしかない never more…

綺麗ね〜…が「スワイ สวย」なら
こんちくしょーッ、最低だぜッ‼︎…も「スワイ ซวย」
「お空、สวยฯ ね〜・起こった出来事、ซวยมากฯ‼︎」
タイ語の声調、難しい(。-_-。)

薬代を立て替えてもらい、新しいアロエを持たされ自室へ。

・・・・・・・・・疲れた。

立て続けのトラブル、せねばならない事が更に増える。面倒だなぁ、もう。

一番ヒドイ火傷を見ていると不安が募る。なんだ、この色。皮膚のどれ位の層なんだろ。
別嬪さんではないが、九相図。皮肉。

クレカ差止め、保険屋さんに連絡。
前々回作ったチェンマイラムホスピタルの診察券。持って来てて良かった。
明日はゲストハウス移動だ。荷物の整理と・・・少し、体と頭を休めよう。

日付変わり、26日午前4時。文無し故、ゆっくり徒歩1時間かけて病院到着。

日本語の出来るスタッフが常駐してる病院だが、こんな時間には当然いない。

治療を終え、またゆるゆると歩き出す。

…コムローイ。夢の残滓が、道の彼方此方に落ちている。


アロエ」は、タイ語で「หางจระเข้ 」ハーンジョラケー。
ちな、ジョラケーは「鰐」葉と歯、 ギザギザして似てるもんね。
「火傷」は、「เผาไหม้」パオマイ。

今回、カラダで覚えたタイ語の単語。


※ 12/22(火)タイ語レッスン。 リオ君に確認。

เพา = 火に焚べる。ไหม้= 火に焚べた後。
「เผาไหม้」は、人には使わないとの事。
・・・病院の先生から物扱いされたのか、私の尋ね方が悪かったのか・・・たぶん、後者(-_-;

人の火傷は「ไฟลวก」
ไฟ = 火。ลวก = 茹でる。