読み比べ 今昔
大和は 国のまほろば たたなづく
青垣山ごもれる 大和し 美し
語感の良さ、目にも美しい大和言葉。
倭建命が詠んだ有名な歌。
読後、なんともいえぬ寂寥感に茫然とした。
物語のパワーに只々虚脱するしかなかった少女時代。
私の中のヤマトタケルは、氷室冴子さんの『ヤマトタケル』で刷り込まれている。
コバルトシリーズ・・・かつての女子供の読み物などと侮ってはいけない。
肉感的で蠱惑的なイラスト。
心理描写の巧みさ。美しい言の葉の響き。旧漢字・古語の見目麗しさ。
漢字は目で見るだけで、イメージを誘う魔力があるから。どうか目で楽しんで、いろいろ想像してください。
〜あとがきより抜粋
本当に、言葉には力がある。
目で見て、耳で聞いて、口で発音して、魅了される。言祝ぐ、呪う・・・・・あ。伊藤計劃氏の『虐殺器官』思い出した。
『なんて素敵にジャパネスク』シリーズ『ざ・ちぇんじ!新釈とりかえばや物語』『なぎさボーイ』シリーズなどなど・・・大昔、悉く処分した。
未だ手元に置いている彼女の本は3冊。『ヤマトタケル』はその中の1冊だ。
日焼けはしているが、開くページは白くシッカリしている。
この紙、なんていうのかしら。いいね、今でも綺麗で丈夫。素敵耐久性。
最後の見開きイラスト。
源氏物語の“雲隠”を知った時・・・みたいな気持ちにさせられた。自分「“雲隠”はタイトルだけ」の説を取ります。
ぽっかり 明るい虚しさ 晴れやかな寂しさ 澄明 軽さ 空ろ 開かれた蒼穹
うん、言語化、面倒です。
昔、愛読した本。
経年と共に読み方が変わったり、感情移入先が変わったり、自分の変化を再確認出来る指標でもある。又は、変わらぬモノを見出したり・・・まぁ、愛しき古き佳き友だ。
癒しえぬ哀しみを、みんなが夫々抱えている。
恐らく。一番感情移入出来る人物は、今も(小娘の頃と)変わらないと思う。
夫々の人物の独白形式で、この物語は進んでいく。
昔程の根気がない今、ひとりづつ 作中人物の語りを聞いていこうと思う。
今宵、第一夜は 美夜受姫。