よしなしごと

日々徒然

ちぇんまい狂詩曲 ②

名にしに負うナイトバザー。ましてローイクラトン、ましてイーペン祭。
人、人、人の雑踏、絶え間なく。

約束…というか、お誘いを受けたのはサンサーイに行く前だ。
お寺のエーさんが「24日、19:00に来なさい」と云ってくれた。
ローイクラトン、お初。
しかも現地の人のが見学出来るのって、得難い体験。

トラブル時、リカバリー出来る筈のモノが頼りにならない。
ダブルブッキングと同時のiPhone動作不能。旅慣れないド素人にはかなり堪えた。

昼寝でもしてゆったりしてから、お寺に行く予定だった。
だが現実は、汗塗れの小走り、若しくは競歩。ゆったり の対極にある。
ナイトバザーからお寺まで、結構距離がある。人混みではいや増して。
下手にソンテウ乗るよりか、徒歩を選んだ方がマシかと思う。

20分程、人を避けつつ、止まりつつ、歩いたり、走ったり。
多分、あと10〜15分程で着くか。
19:20汗だくで到着。肩で息する程度の急ぎっぷり。

いつものタイマッサージを行う部屋。
散乱する沢山のバナナの葉、虫ピン、ハサミなどなど、足の踏み場無し。
寝てる赤ちゃん。エーさん、アーイさん、若い女性、男の子、少年僧…
遅れた事を詫びると「マイペンライ」と。

皆、器用に適当な長さのバナナの葉を綺麗に巻いていく。
感心して眺めていると、私用にバナナの葉を切って渡してくれるエーさん。
不器用者故、悪戦苦闘。巻き方の見本を見せてくれるが、進歩の兆し無し。
数枚の葉が、破れる。
エーさんが巻いた癖のついた葉を、何度か自分の手で巻く。
不恰好ながらも多少の体裁は整った…と、自分では思うのだが「マィスワイ マィスワイ」美しくないとの事。
はぃ、やり直し。容赦無し。
半ば諦め傍観者になろうとするも「ジャイ エーンエーン・ジャイエンエン‼︎」と新たなバナナの葉を持たせるスパルタカス
はぃ、落ち着いて再チャレンジ致します。


作業に没頭。エーさんも根気よくみてくれる。
アーイさん達はとっくに仕上がって、来訪した友達と爆竹に興じてる。
エーさんと並んでタバ休。
月を眺めていると、ローイクラトンの歌が隣りから聴こえてきた。
釣られて一緒にサビを歌ってると、教える事に熱心なエーさん、すかさず歌と手の動きを指導。
自然体の、笑いと賑わい。

お寺のチェディや金色の馬の群像。
月明りに映えて、昼とはまた違う表情を見せてくれる。
そんなこんなで手伝いもして頂いて、自分のクラトーンの完成。
シンプルで不恰好ながらも、嬉しいものだ。

ピン川ではなく、お寺の向かいのお堀に。
流す前に、爪と髪を少し切りクラトーンに乗せる。
線香に火を灯す。…綺麗だ。
お堀の中に、ひとつだけのクラトーン。頼りなさを見せつつも、標べのような孤高の尊さを感じさせてくれる。

お堀の水面は穏やかに。穏やか過ぎて、クラトーンは流れない。
傍らのエーさんが 歌いながら、水面に手を入れバシャバシャ…ゆっくり流れるクラトーン。

みそぎぞ夏のしるしなりける
形代流し そんな言葉が脳裏に浮かぶ。
国は違うけど。季節も違うけど。

ローイクラトンの歌を怪しく歌いながら、手や指をぎこちなく動かしつつ・・・不恰好なクラトーンの流れるを見届けた。

なんだかな、実際会うのはほんの数回程度なのに・・・何故こんなに親切なんだろう。
胸が痛くなる程に、温かい。